教室の前で静かに見守りながら、子どもたちの鉛筆が紙の上を走る音に耳を傾けていました。いまは作文を書く時間です。
じっくりと考えながら丁寧に書き進める子、思い出を一つ一つ振り返りながら鉛筆を動かす子、少し手が止まり、考え込む子。どの子も、それぞれのペースで言葉を紡いでいました。
題材は「この一年の思い出」。運動会、吹奏楽コンクール、お別れ遠足、学級レクリエーション、そして創立150周年記念行事。どの作文にも、その子ならではの視点でとらえた出来事が綴られています。
読んでいると、そのときの光景がありありと浮かんでくるようでした。多くの子が題材に選んでいて印象的だったのは、150周年レクリエーションについての記述です。
「スーツとサングラスをかけた保護者の方に追いかけられた」「全力で逃げたけれど、みんな速くて逃げ切れなかった」と書いていました。その場面を想像するだけで、子どもたちの笑い声が聞こえてくるようです。
子どもたちは、日々の何気ない出来事の中に、大切なものを見つける名人です。運動会で応援してもらったこと、ダンスでうまくポーズが決まったこと、お弁当が豪華だったこと、〇×クイズでみんなと一緒に盛り上がったこと―
その一つ一つが、かけがえのない思い出として心に刻まれているようです。
本当に子供たちって,素敵な存在なんです。
作文を書き終えた子が、満足そうに鉛筆を置く姿が目に入りました。その表情には、「ああ、今年も楽しかったな」という気持ちがにじんでいるようでした。