ひとつ,ふたつ
ひそやかに、でも確かに、季節は歩みを進めています。教室の窓から見えるあの木も,気がつけば,ふわりと若葉のベールをまとっていました。
でも——どんなに季節がやさしくても,草は生えます。草むしりは大切なお仕事。給食委員会の子どもたちは,給食センターの前にしゃがみ込み,ていねいに草を抜いていきます。
そして、もちろん。給食黒板も書きます。来週の献立はねえ……。「タケノコご飯にアジフライ!」その字を見て,思わず笑顔になる子がひとり,またひとり。
誰かのために手を動かすこと。手を汚すこと。手を濡らすこと。それが,何気ない日常の風景を,ガタやんの心を,こんなにもあたたかくします。
放送委員会の子は,今,5月の誕生日紹介を考えています。どんな言葉で伝えたら,聞いた人が笑顔になるだろう。新しく来た先生の紹介文にも,言葉を選んで,やさしい気持ちを込めます。
いたるところに、人のために。それがあるのが宮浦小です。それはやがて、自分のためになるのです。見えないところで育っていく,心の根っこ。今日もまた,やさしい芽がひとつ,ふたつ。