« 学校便り3月号 | メイン | »

2025年4月 7日 (月)

ご入学、おめでとうございます

Img_4646人生のうちで,何人の人と出会うのだろう。その出会い一つ一つを思い出しても,思い出すことができないほどたくさんの人たちとの出会いがある。そんななか,印象深いのは担任の先生との出会いだ。

Img_4653小学生の児童にとって,一年に一度特別な時間がある。それは新任式。始業式の前に行われる特別な時間。今日は7人の新任の先生方が並んだ。児童代表の言葉が先生方の緊張した心を和らげる。

Img_4669でもね,先生たちにとっても、実は特別な時間だったんだ。前日の夜、何度もスーツにしわがないか確かめた先生。「ちゃんと名前、覚えてもらえるかな」とそわそわしていた先生。中には、緊張でなかなか眠れなかった先生もいたくらい。

Img_4661「だれが担任の先生なんだろう。」そんなワクワクが、目の奥にあふれている。きらきらした瞳が、前を見つめている。まだ見ぬ一年の物語を、そっとのぞきこむ。

Img_4666

いよいよ担任の先生の発表の時間。名前が呼ばれる、その一瞬を待つ子どもたち。静かな体育館に、緊張と期待が入り混じる。呼ばれる前の数秒が、こんなに長く感じるなんて。それぞれの胸の中に、言の葉にならない想いが渦を巻く。

Img_4676担任発表の瞬間――。出逢っていたけど、気づいていなかった。でもその伏線が、今日ここで、ふっとつながる。あのときのやさしい声、あたたかいまなざしが、今、はっきりと輪郭をもった。そんな物語が、今、まさに始まるんだ。

Img_4690ムムムっ!これは校長先生、一体何を?時は変わって入学式ですね?おうちの人と手をつなぎながら、どこか緊張した表情の新一年生たちが、門をくぐってくる。見上げる校舎も、広い校庭も、体育館も——その全てが「はじめて」で、ぜんぶがちょっとドキドキする。でも、大丈夫。先生たちは、もうずっと前から、みなさんが来るのを楽しみにしていたんだ!

Img_4692

体育館の静けさの中で、先生の声が響く。ひとりひとり、まっすぐに名前を呼ばれる。その名前は、おうちの人が時間をかけて、大切に大切に選んでくれた名前。生まれてきたときに、願いをこめてつけられた名前。その名前で、これからたくさんの人に呼ばれるんだ。先生に。友だちに。後輩や先輩に。時にはちょっと怒られながら、時には笑われながら。これから何万回も呼ばれる名前が、少しずつ、少しずつ、あなたという人を造っていくんだ。

Img_4696

緊張の面持ちの新一年生たちの前に、ひとりの6年生が立つ。まっすぐに前を見つめて、はっきりとした声で話しはじめる。「ご入学、おめでとうございます」その言葉に込められたもの。それは——やさしさ。そして、安心感のかたまりだった。「最初は分からないことがいっぱいあるかもしれません。でも、大丈夫です。困ったことがあったら、わたしたちに何でもに聞いてください。」

Img_4702

入学式が終わって、初めて教室に入った新一年生たち。まだランドセルも、机も、イスも、どこか大きすぎて。そわそわして、キョロキョロして、ちょっとだけ落ち着かない。そんな子どもたちの前に、担任の先生が立つ。

Img_4704

にっこり笑って、こんなふうに話し始めた。「今は、1年生になりたてのみんなと同じ。まだまだ“はじめまして”の気持ちでいっぱいです。だから、先生にはたくさん甘えてください。」一瞬、きょとんとした子どもたちの表情。でもそのあと、ちょっとだけ笑顔がこぼれる。

Img_4705

「これから少しずつ、小学生になろう。焦らなくていいよ。1年間かけて、“小学1年生のベテラン”に育てていきますから。」そういった主旨の話を担任がすると、何だか教室の空気がすっとやわらかくなる。春風のような空気感が、真新しい1年生の教室を温かく包み込んでいた。

アクセスランキング

カテゴリ